前向き授業フォトアルバム

グループ1台のホワイトボードに班の考えをまとめる(20150514大須賀中学校3年生数学)


タブレットPCで他の班の考えと自分の班の考えを比較(20150910大須賀中学校3年生数学)

 

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2018/09/18

一次関数を前向き設計

Tweet ThisSend to Facebook | by 管理人
中学2年生が一次関数の単元に入りました。
「関数って何?」という質問に答えた生徒、0人。
「関数を学ぶよさは?」という質問に答えた生徒、0人。
1年生のときに「関数」という言葉は教えられたが、その意味もよさも実感できていない事実が第1時に浮かび上がってきました。この単元を通して、一次関数のよさが実感でき、関数を学ぶ必要性を感じることのできる生徒が育てば…と思います。

一次関数の単元デザインは、まず表の変化の様子から一次関数の変化の様子を学び、その表から式y=ax+bを導き、グラフをかいて…と一つ一つの学習のパーツを教師が教えていくことで単元が進みます。そして、一通り必要な知識や技能を覚えたところで、生活の中の課題を一次関数を利用して解決していきます。
変化の割合を求められない生徒や直線の式を求められない生徒、グラフをかけない生徒など、教師が毎時間設定したゴールに到達できなかった生徒は生活の問題を解決する以前に学習意欲を失い、単元の後半では何のために関数を学ぶのかよくわからない状態になってしまっていることが多いのです。

今回の単元は、生活の場面における課題を解決する過程で生まれた生徒の気づきや疑問から授業を展開し、必要感を持った状態で学習指導要領に記載されている知識や技能を埋め込んでいく設計です。各教材を2?3時間で扱うこととし、ゆとりある学習時間の中で生徒の問いを最大限に生かして生徒がどこまで学びを深めていくことができるかを検証します。

第1時は水泳大会のためにプールに水をためる水泳部顧問の疑問を解決することが学習課題です。

「17:00時点で30cmしかたまっていないプールに水を入れ始めた顧問が3時間後に水位を測ったら45cmだった。」
さて、間に合うのだろうか。

導入部では状況確認をしましたが、
・プールの深さはどれくらいなのか。
・プールの形はどのような形か。
・水の蒸発や雨などは考えた方がよいか。
など、条件を理想化・単純化する発言も飛び出し、とても嬉しく感じました。
生徒の多くは3時間で15cm水位が上昇したことから、1時間あたり5cm水位が上昇することに気づきます。
これがまさに「一次関数」の特徴であり、「変化の割合」を示す数なのですが、言葉の指導はまだ行いません。
ある生徒から「蛇口から出る水の量はいつも同じですか?」という問いも出て、1時間あたりの増加量が一定であることが生徒らに意識されました。
この授業では、顧問の先生にどんなメッセージを伝えるかを学習班で考えるのですが、間に合わない根拠を表やグラフを利用して説明します。


上記のようなグラフを書いて、大会開始時刻には105cmしかたまっておらず、150cmには程遠いことを示す生徒もいましたが、中には「このままだと夕方にならないと大会を開始できない」や「あと45cmで150cmになるから、あと9時間必要」など、グラフからわかることをアドバイス的に書いている生徒もいました。

小集団でも、「なぜ間に合わないか」や「どうなってしまうのか」など、一次関数の特徴を利用して説明する生徒が多くみられました。


自分たちなりの解決策を考えだす学習班も生まれ、もっと時間をかければいろいろなアイディアが出てくるのではないかと楽しくなりました。
おもしろいことに、解決策は1つではなく1枚目の写真の班は「入れ始める時間をもっと前にすればよかった」考え、2つ目の写真の班は「1時間あたり8cm上昇するように蛇口をひねればよい」と考え、3つ目の班は「1時間あたり8cm上昇するように蛇口をひねればよい」と考えています。

以下は、授業の終わりに書いた振り返りシート内に書かれた「疑問やもっと調べてみたいこと」の一覧です。

・1時間あたり8cm水を入れる以外に、9cm、10cm以上の数を入れたらどのくらいの時間でたまるのかなと思った。
・最初に30cm入っていなかったら、1時間で何cm入れたらよかったのか。またプールの容量が150cmでなかったらどうなるのかなど知りたいと思った。
・式で表した班の方法があまりわからなかった。
・もう3時間経っているので、あと12時間で何cm入れればよいか。105÷12=8.75 1時間に8.75?入れれば今からでも間に合わせられる。
・単純に考えれば蛇口をひねる他に方法はないのか。天候によって水位が変化してしまう場合は?
・1時間に何cm入れたら間に合うのか、表や式、グラフにして考えたい。
・最初から(蛇口を)パワーアップしないで、途中から変えるというのもおもしろいと思った。
・今回の場合、同じ蛇口を2個にしてみるのもいいと思った。理想化した場合だけでなく、自然に起こることも考えて計算してみたい。式をつくることにも挑戦したい。
・水泳大会時刻をずらして、その内に水をためるっていうのはダメですか?
・表を使うことはわかったけど、グラフのかき方がよくわからなかった。〇〇さんの班が1時間8cmためればいいっていうのを式で表していたので、1時間5cmなら24時間必要ということを式で表してみたい。
・y=8x+30でもいいけど、1時間あたりにたまる数量をxとして、y=15x+30でやってもいいと思う。
・y=5x+30という式がなぜできたのか知りたいと思った。
・どのようにすれば8:00に間に合うのか追究したい。
・表を違う数にしていろいろな計算をしたい。増え幅が違ったらどうなりますか?
・もっと蛇口から水をだせばいい。もっと早くから入れればいい。
・表から式を立てることはわかったけど、その式を解いたりするのか、解くと何がわかるのか調べてみたいと思った。
・水を入れる時間を早くして、水を入れる量を増やせばいいんじゃないかと思った。

全体的に、「もっとこすうればよかった」というアドバイスをしたいという思いが強いように感じます。また、もっと他の方法を探したいという探求心も感じられ、次回の授業がおもしろくなりそうです。式を発表した班の意見に反応している生徒が比較的多く、式による解決の鮮やかさを感じつつも、立式の仕方のわからなさも感じられます。次回の解決策を練ることを通して、表やグラフ、式、それぞれのよさを実感していただければと思います。

次回の授業では、大会に間に合わなかった顧問の先生にどのようなアドバイスを送るか考える授業を展開してみようかと思います。

以上、1時間目の授業でした。このプール問題は水を抜くところまで3時間にわたって考える予定です。
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